みなさんこんにちは。中延昭和通り歯科の歯科衛生士です。
今日は、ホワイトニングや矯正とは違うお話をしていきます。
普段歯医者さんで受ける治療やクリーニングで使用される歯科の器具。
お口の中に直接入れるものが多いため、どんなふうに管理されているのか、気になる方が多いのではないかと思います。今日は、中延昭和通り歯科ではどんなふうに歯科器具を管理しているかをご紹介していきます。
まず、歯医者さんで使う器材はディスポーサブル(使い捨て)のものとそうではない物に分けられます。
ディスポーサブル(使い捨て)の物の例としては、患者さんに使用するエプロン、紙コップ、グローブにはじめ、外科的な処置で使用するメスの先端部分や針など。材質などにより、洗ったり消毒したり滅菌時の温度に耐えられない物などは使い捨てとなるものが多いです。
そして、使い捨てをせずに使用する器具、例えばお口の中を見るときに使用するデンタルミラーやピンセットなどは患者さんに使用する毎に、以下のような洗浄・消毒・滅菌の工程を経て、清潔を保ち安心できる状態で使用されます。
<STEP1 洗浄>
まず、患者さんに使用した器具は、「洗浄」という工程で器具に付着した汚れを落とす作業を行います。
血のような目に見える汚れから、直接見ただけでは確認しづらいような唾液などの汚れまで、しっかりと落としきる必要があります。この最初に行う「洗浄」の工程は歯科器具の衛生を保つにあたって非常に大切な工程です。手洗いによる器具の洗浄方法もありますが、歯科器具は先端が鋭利なものや、ハサミなども取り扱うため、洗浄の際にスタッフが手を怪我してしまい感染のリスクがあります。
また、作業を行うスタッフによって洗浄のムラが出てしまったり、一つ一つの器具を洗うのに時間がかかってしまったりという問題点があります。そこで、当院は「IC Washer」という歯科用洗浄機を導入しています。この「IC Washer」を使用することで、精度の高い洗浄を行うことができます。手洗いよりも細部にわたって洗浄できるだけでなく、血液や唾液中のタンパク質が、洗浄時使用する水の水温などにより凝固しないようにプログラミングされています。
<STEP2 消毒・乾燥>
さらに、この「IC Washer」で洗浄後にそのまま「消毒」の工程まで行うことができます。
「消毒」も様々な方法がありますが、IC Washerでは効果的で信頼性の高い「熱水消毒」によって消毒が行われます。この「熱水消毒」は薬剤などを用いて行う方法と比較して、器具への薬剤の残留の心配がなく安心です。菌の中には、熱に強く70〜85℃の高温でも生き残れるものも存在します。そんな熱に強い菌もしっかりと死滅できるように、ICウォッシャーでは93℃の熱水を使用して10分間熱水消毒が行われます。これは、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスの不活化にも有効な温度・時間です。
そして、これらの器具は庫内でしっかりと乾燥の工程まで行われます。実はこの「乾燥」も非常に大事な工程です。器具がしっかり乾燥されておらず、水滴が残っていたりすると、この後に行う「滅菌」の工程に支障が出てしまい完全な「滅菌」を行うことができないといわれています。ICWasherでは、庫内から器具を取り出す際、水滴などが残っておらず、しっかりと乾燥された状態で取り出すことができます。
<STEP3 滅菌>
洗浄・消毒の工程が終わったら、次は「滅菌」です。
滅菌とは?・・・病原体・非病原体を問わず、すべての微生物を死滅、または除去すること。対象物を無菌化すること。日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になることをもって、「滅菌」と定義しています。
滅菌では「高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)」という滅菌専用の機械を使用します。熱水消毒の時よりもさらに高温の121〜135℃で滅菌処理を行います。とどめにこの滅菌を行うことで、患者さんに使用する器具を無菌状態とすることができます。この滅菌の際、器具毎に「滅菌パック」という専用の袋に小包装して滅菌を行います。これには、滅菌パックに入っている器具の隅々まで滅菌処理を行き渡らせる役割や滅菌処理後、しっかりと封をされた状態で、器具の衛生状態を保つ役割があります。これらの滅菌パックも全て使い捨てとなっております。
このようなすべての工程を終え、「清潔」な状態になった器具を患者さんに使用しております。歯医者さんでの治療は患者さんが直接目で見て治療工程などを確認しづらいため、「どんな風に、どんな器具で治療されているんだろう」と不安になられる方も少なくないかと思います。そんな不安を少しでも解消できるように、今回はこういった記事を書かせていただきました。何かご不明点などありましたら、お気軽に院内スタッフまでお声かけ下さい。