冷たいものを食べるとしみる、そんな経験はありませんか?
それはもしかしたら知覚過敏かもしれません。
知覚過敏とは、虫歯などがないのにも関わらず、冷たいものを飲む・食べる、歯ブラシを当てるなどの刺激により歯の神経に触れ「しみる・痛い」などの症状が現れることです。
テレビのCMなどでよく「知覚過敏」という言葉をよく耳にすると思いますが、その中で正しく認識されている方は意外と少なく感じます。
知覚過敏についての正しい知識とケアの仕方についてこれから説明していきます。
知覚過敏が起こる原因は「象牙質の露出」です。
象牙質とは歯の中の組織の一つで、象牙質を通じて歯の神経である歯髄に刺激が伝わります。よって虫歯ではないです。しかし虫歯でも似たような症状が起こるため、「しみる」症状がある場合は歯科医院に行き、診査してもらうと良いと思います。
知覚過敏の原因が象牙質の露出によるものと説明しましたが、「象牙質の露出がなぜ起こるのか」これがとても大事になってきます。この知識によりご自身で知覚過敏かどうか判断できるようになるかもしれません。
知覚過敏の原因として多いのが、「歯茎の退縮による象牙質の露出」です。歯茎の退縮を招くものが、不適切なブラッシングと歯ぎしりです。
まずは今ご自身が使っている歯ブラシと歯磨き粉を見直しましょう。
そして歯ブラシをする際の圧について見直しましょう。
歯ブラシの圧を強くすることで歯を削ってしまい、歯茎を傷つけます。これにより歯茎の退縮に繋がります。ブラッシング圧の目安は歯ブラシの毛が少ししなる程度です。逆に強く当ててしまうことで清掃能力も低下します。
歯ぎしりや食いしばりを気付かないうちにすることで、歯の首元に力が加わることで歯が欠けてしまい、象牙質の露出を招きます。歯ぎしりをしているかどうかは歯科医院でお口の中のチェックさせて頂ければすぐに判断できますので、診察を受けて頂ければと思います。
知覚過敏の治療法は段階的に行うことをおすすめしています。まずは歯磨き粉を知覚過敏用に変え、症状の改善が見られるかどうか、次にコーティング剤の塗布、さらにプラスチックによる欠損部の付与などがあります。症状の大きさによって治療法を変えています。
まず導入として簡単な知覚過敏用の歯磨き粉を使用しましょう。知覚過敏用には硝酸カリウム・乳酸アルミニウムが含まれる歯磨き粉をおすすめします。
硝酸カリウム:カリウムイオンが歯の神経に回りに滞在し、歯の神経への刺激の伝達を防ぎます。
乳酸アルミニウム:象牙質の中に神経へ伝える管があり、その管を塞ぐことで刺激から守ります。
当院で販売されているのは「ヒスケア」という商品です。
ヒスケアには硝酸カリウムと乳酸アルミニウムが配合されており、さらにフッ素も1450ppmFと最大量まで含みます。
知覚過敏の他にも虫歯予防や歯周病予防にも効果的で、ホワイトニング後の知覚過敏に最適で着色も防ぎます。
歯の知覚過敏に対して即効性が高いのがコーティング剤になります。コーティングとは象牙質が露出してしまった箇所に薬を塗布し、覆ってあげることで刺激から守ることができます。
即効性が高いですが、日頃の歯ブラシにより、徐々に擦り減ってしまい、剥がれ落ちてしまいます。一時的な応急処置だと思ってもらったほうがいいかと思います。
コーティングを行ってしみなくなっている間に、知覚過敏用に歯磨き粉を使用し、再石灰化を促すことでコーティング剤が剥がれた後でもしみなくなることが多くあります。
歯ぎしりや食いしばり、ブラッシング圧が強いことにより、歯茎が下がり、歯が欠けてしまったところにレジンというプラスチックの材料で補強します。これにより象牙質の露出をカバーできるため、「しみる」症状が軽減します。
材質がプラスチックのため将来的に着色や劣化が見られることが多いため、取り換える必要があります。
歯ぎしりや食いしばりが強い方は知覚過敏の症状がでやすいため、予防や悪化を防ぐためにマウスピースの作成をおすすめしています。マウスピースを作成することで歯にかかる負担を軽減させることができます。
歯の神経治療により歯の感覚を無くすことで「しみる」症状を改善します。しかし虫歯ではないのに歯の神経を取ってしまうのは歯科医師として心苦しいです。知覚過敏で歯の神経治療を行うことはほとんどありませんが、最終手段として考えて頂ければと思います。
歯の神経治療を行うことで、歯に血流が無くなり栄養が不足し枯れ木のような状態になります。歯の耐久性が落ち、歯の破折のリスク増加にも繋がります。
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